こんにちは、かりんです🥰
2024年10月31日(木)に行われた日銀金融政策決定会合(その後の植田総裁の会見)についてまとめます。
2024年10月31日(木) 日銀政策決定会合 要点
・無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.25%程度で推移するよう促す。
今回も市場の予想通り、全員一致で現状維持ですね。
まぁ衆院選で波乱が起きたばかりですし、今利上げするわけないって感じでしたよね。前回の会合でも「時間的余裕がある」って言ってましたし。
展望レポート
24年10月31日の展望レポートも一部抜粋します。
【基本的見解】 概要
●先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。
●物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2024 年度に2%台半ばとなったあと、2025 年度および2026 年度は、概ね2%程度で推移すると予想される。既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。
なお、2025 年度にかけては、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比に対して、政府による施策の反動が押し上げ方向で、このところの原油等の資源価格下落の影響などが押し下げ方向で、それぞれ作用すると見込まれる。
●前回の見通しと比べると、成長率については概ね不変である。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2025 年度が、このところの原油等の資源価格下落の影響などから幾分下振れている。
●リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。
●リスクバランスをみると、経済の見通しについては概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、2025 年度は上振れリスクの方が大きい。
【金融政策運営について】
金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。
2024年10月31日(木) 植田総裁による会見 質疑応答
続いて植田総裁の質疑応答についてざっくりと。聞き逃したのもあります。まぁ参考程度に。
次回以降の会合で経済物価がオントラックなら利上げできる環境は整う?
経済物価の見通しが実現していくとすれば引き続き政策金利を引き上げ金融緩和度合いを調整していく。
米国経済の現状をどう評価する?また新大統領の政策が日本経済、金融政策に及ぼす影響をどの程度の時間軸で見極められるか?
米国経済は9月の雇用統計が市場予想を大幅に上回るなど良好な経済指標がみられている。まだ不透明な部分もあり今後も注視していく。
見極めに必要な時間や利上げのタイミングに予断は持っておらず、毎回の会合においてその時点で利用可能なデータから政策判断を行う方針。
新大統領の政策については他国の政治情勢に関わるものなので具体的なコメントは差し控える。
現状で追加利上げの判断に時間的余裕があるかどうか?
毎回の決定会合でその時のデータをみて判断していく。
衆院選で与党が過半数割れした。政治側の動きが日銀の政策判断に影響するか?
日銀の金融政策運営は経済物価見通しが実現していけば、それによって金融緩和の度合いを調整していく。
「時間的余裕」という言葉をよく聞くけど、時間的余裕ってどれくらいのスパンなの?
8月から「時間的余裕」という言葉を使っているが、当時の米国の雇用統計が予想以上に弱く、マーケットが非常に荒い動きになった。このあたりが日本経済に及ぼす重要なリスクと判断し、注意深く検討していくということでこの言葉を用いた。
現状の米国の動きは経済指標の動きが少しずつ改善し市場も安定してきた。リスクの度合いは少しずつ下がって、もう今回「時間的余裕」という表現はもう使っていない。
ただし、他のリスクは常にありそれについては毎回の決定会合でデータをみて普段通りに判断する。
また円安に動いてるけど、円安に傾き過ぎたら追加利上げの理由になるのか?
円安の背景にある内外の経済の動き、物価経済見通しとともに精査していく。
次回12月の会合での利上げの可能性は?
物価、消費、賃金の強弱などを総合して毎回の決定会合で判断していく。
今後の市場の安定度合いはどの辺をみるの?
特定の指標をみると申し上げるのは適切ではない。どこが不安定になるかはその都度変わりうる。広くみて判断する。
7月の利上げの評価、有効性は?金融緩和度合いは想定通りに調整されているのか?
7月の利上げについては今のところ想定内の動き。
もともとの利上げ幅が小さいので強いマイナスの影響はないと判断している。
8月の前半にマーケットの混乱はあったが、金融システムに悪い影響を及ぼしていない。
為替相場が円安に戻ってきている。円安による物価上振れリスクはどうみている?
円安が物価に及ぼす影響が大きくなってきている点には注意しつつ、円安の背後にある経済の動きもみつつ判断していく。
一部の小売企業で値下げの動きも出てきているが、これが経済物価に与える影響は?
全体としてはごくわずかなプラスの成長率だが、緩やかな増加傾向を続けていると現状判断している。
日銀として利上げの環境は整いつつある、ということか?
政策委員ひとりひとりで判断基準は異なると思うが、今日のところは全員一致で「現状維持」となったということ。国内のデータについては賃金、物価の見通し通りのものが続いている。
米国など海外要因については下振れリスクも考えていたが、その霧は少し晴れつつある。
大統領就任は25年1月になるが、利上げはそれまで待つのか?
米国の新大統領の政策が判明するのは、だいぶ先になるのではないか。
新しい大統領の政策に関してはリスクもあり、それについてはその都度各会合で判断する。
展望レポートのなかで「賃金」に関する表現がやや強まっているように感じたが?
所定内給与でみて前年比概ね+3%の伸び率になってきているので、これが続けば日銀の見通しが実現する確度は少しずつ高まっていくとみている。
「時間的余裕」という表現は今回はあえて使っていないの?
6.7月から9月上旬くらいまで心配されていた米国経済のダウンサイドリスクを見極めるという意味で使っていた言葉。このリスクがなくなることでこの表現も使わなくなるということ。
前回の決定会合の時よりも利上げに向けた環境は整ったと考えていいか?
夏場にみられた米国内のリスクは低減しているが、他にもさまざまなリスクもある。
経済物価の見通しも100%自信をもっているわけではない。自信の度合いが上がっていくことを「確度が上昇する」と言っているが、これが継続してはじめて次の利上げもみえてくる。
米国経済以外での重要と考えるリスクは?
長くなるから展望レポートをみて。
次の利上げでのダウンサイドリスクは、7月の利上げ時と比べてどのようなものがあるか?
現時点で特に新たなリスクがあるとは考えていない。
長い間、本格的な利上げ局面がなかったので、思ってもいなかったマイナスの効果が出てくることは考えなければならない。毎回しっかりみていかなければならない。
来年の春闘でどれくらいの賃上げが実現すれば利上げの環境が整ったという判断ができるのか。
現時点で大した情報がないので具体的なことは言えない。
今年と同様の賃上げ率になれば、日銀の目標にとっては良いが、それだけで利上げの判断になるわけではない。
米大統領選を経て米国のリスクがさらに下がれば今後の利上げ判断の大きな材料になるのか?
8月くらいの程度のリスクのままだと、次のステップは難しい。
それが大きく低下したからといって、次の判断に進めるというわけではなく、日銀の経済物価見通しの確度がどれくらい自信をもって判断できるかによる。
衆院選で与党が過半数割れし政治の先行きに不透明感があるが日銀の物価見通しの判断に影響するか?
政治情勢が物価見通しに直接は影響しないと考えている。
政策的に大きな動きがでてくれば、物価見通しに影響する可能性はある。その場合は適宜見通しを修正する必要があると考えている。
「時間的余裕がある」という表現をなくしたのは、次の利上げに向けたステップが前回より高まったという理解でええか?
夏場に観測した米国経済のある種のリスクに特に注目することはやめて、普通の金融政策のやり方に戻るということ。毎回の決定会合でデータをみて判断するということ。
今後、財政拡張などの政治政策が出てくると日銀の動きはどうなる?
財政政策については日銀はコメントを差し控える。
ただし、中長期的な財政の維持可能性について配慮していただくことは重要と常に申し上げている。
人件費増加によるサービス価格への転嫁が鈍っている指摘もあるが?
10月以外をみるとある程度着実に上がってきている。
ただ加速感をもって上がっているわけではない。
政権の枠組みが不透明な状況が当面続きそうだが、政局の不安が日銀の判断に影響するのか?
日銀の金融政策は経済物価の見通しをみて判断していく基本的姿勢を堅持していくことが大切。
総裁の学者時代の著書の出口論で「着手してから比較的速やかにハッキリとプラスの金利にもっていくのが自然と思われる」と書いてるけど?アメリカのリスクとか色々言ってるけど、だったら昨年のうちから出口戦略にはいればよかったのでは?
2%の持続的安定的なインフレ率を達成するという目標から照らすと、昨年のうちから本格的な出口に向かうという判断はなかった、と今でも考えている。
そのうえで今年になって、大規模緩和を3月に終了したが、基調的なインフレ率はゆっくりなので利上げのペースもゆっくりになる。こう進めてきたことで、出口に進む中で大きな波乱はなく進めてこれたと考えている。(8月にいちおう波乱はあったが回復した的な感じ)
今、政府・日銀が推し進める金融政策はいわゆる「高圧経済」にあたるのか?高圧経済を進めるコストとベネフィットをどう考えているか?
これまでは拡張的、緩和的な金融政策であったことは否定できない
日銀としては2%の経済物価目標を持続的安定的に達成するために金融政策を運営している。
米大統領選後に新たなリスクがでてきたとしても、それでも11月意向も時間的余裕があるのか?
時間的余裕という表現はもう使わない。
毎回、会合までに入ってきた情報で政策の調整を判断する。
(この記者なにも聞いてなくてワロタ)
日銀が保有するETFの処分はどうするの?3月段階で「検討中」と言ってたけど?
現状まだ検討中。
まだお時間を頂きたい。
まとめ
まとめると、こんな感じですかね😋
・6.7月以降の米国経済のリスクは低減した
・「時間的余裕」という表現はもう使わない
・毎回、金融政策決定会合までに入ってきた情報で判断する。(普通の金融政策に戻る)
・政治情勢が日銀の金融政策に直接影響しないが、新たな政策等によって物価見通しに影響すれば金融政策にも影響する可能性はある
前回まで用いていた「時間的余裕」という表現をもう使わない、ということからややタカ派な印象を与えた会見でしたね。
今回は取り急ぎ以上です!
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